株式会社Hacobu
ドライバーの長時間労働を「データ」と「システム」で改善
株式会社Hacobuは2015年に設立して以来、「運ぶを最適化する」をミッションに掲げて、物流向けのアプリケーションやハードウェアを提供してきた企業です。
数あるクラウドサービスの中でもひときわ注目を集めているのが、2018年にリリースされた運送トラックの予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)」。株式会社Hacobuが提供するソリューションの中で、もっとも顧客層の大きいサービスとなっています。
この「MOVO Berth」で、ドライバーの呼び出しに利用されているのがTwilioのSMS機能であるProgrammable SMSです。
課題
- ドライバーを庫内誘導するための方法がアナログに偏っており、大幅なタイムロスが生じていた。
- ドライバーにはフィーチャーフォン(ガラケー)使用者も多いため、どのタイプの携帯電話にも伝えられる方法が必要だった。
解決方法
「MOVO Berth」のドライバー呼び出し機能の構築に、Twilioの高品質SMSを導入した。
効果
高い到達率を誇る高品質SMSをインフラに採用することで、業務が滞ることなく、スムーズな車両誘導を実現できた。
物流業界が抱える課題、「2024年問題」
株式会社Hacobu 會様
物流業界では昨今、トラックドライバーの長時間労働が問題になっています。
厚生労働省の調査によれば、通常月の時間外労働時間が1日1~4時間と答えたドライバーは48.1%にのぼります。さらに4~7時間と回答したドライバーは14.0%、7時間を超えるドライバーは4.3%です。
2024年4月1日には「働き方改革関連法」によって、車両運転業務に対して、年間の時間外労働の上限が960時間に定められることになっています。年間960時間ということは1カ月で80時間。月の稼働日数を22日と仮定すると、1日の時間外労働は3.6時間となります。
つまり現状でも、4時間以上の時間外労働をしている18.3%は960時間をオーバーしてしまうのです。また1~4時間の時間外労働をしている41.8%の中にも、制限をクリアできないドライバーが含まれていると見ていいでしょう。
こうした「働き方改革関連法」の時間外労働時間の制限によって発生する諸問題は「物流の2024年問題」と呼ばれ、大きな注目を集めています。
ドライバーの長時間労働はなぜ起こる?
物流業界では商品が作られてから消費者のもとへ届くまで、メーカー・卸業者・小売業者といった別々の会社が情報をやり取りする構造上、インフラ部分が電話やFAXなどのアナログな通信手段に偏っています。
そのため荷物の受け渡しを担う物流センターでは「どういう商品がいつ来るのか?」が不明瞭で、混雑時にドライバーが集中してしまっていたのです。順番が来たドライバーを呼び出して車両誘導する際も、担当者が1件ずつ電話を掛けるか、庫内を探し回って声をかけるかといった方法しかなく、大幅なタイムロスが生じていました。
ドライバー側も、これまで「好きな時間に物流センターへ行って呼び出されるのを待つ」という働き方をしていました。しかし先述の通り、バースが混雑していれば待機時間が生じます。自分の作業がおこなえるようになるまで2時間以上待たされることも多く、それが結果として長時間労働に繋がってしまっていた……というわけです。
物流業界を「データ」で変える
届く荷物の情報が事前にわかっていれば、庫内での導線が最短になるように配置するなど、あらかじめ準備ができるのに……。それが、各物流拠点の抱える悩みでした。
こうした現場の課題を解決するべく、物流業界のDX化を目指しているのが株式会社Hacobuです。Hacobuはビジョンにも謳っている「Data-Driven Logistics™」を顧客に実現してもらうために、さまざまな物流系サービスを展開しています。
「Data-Driven Logistics™」とは、データをもとに事実を共有し、現状の課題を見つめ直し、建設的な解決策と新しいロジスティクスの在り方を考えていくことを指します。
物流業界はインフラ部分がアナログに偏っており、「情報が直前にならないと共有されない」「ギリギリまで状況がわからない」という状態が続いています。わからないことが増えると企業は安全策を取らざるを得ず、大きな改革にも踏み出せないまま、どんどん消極的な姿勢になっていきます。それは負の連鎖として複数の企業に伝わり、やがて業界そのものを萎縮させかねません。
しかし「わからない」を解消できれば、山積する物流業界の課題を解決する糸口になります。ゆえに株式会社Hacobuは「Data-Driven Logistics™」の実現に邁進し、物流業界のさらなる生産性向上を目指しているのです。
「MOVO Berth」の概要
「MOVO Berth」は入出荷に関わる業務の効率化を促すべく開発された、トラック予約受付サービスです。現在では約350か所の物流センターで導入されており、他の会社も含めた予約のみに絞れば、利用拠点は7,000か所に及びます。
予約機能
運送会社のドライバーでも荷主でも、「何の荷物をいつ、どれだけ持っていくか」をあらかじめオンライン予約できます。
これにより物流センター側は入出荷作業の計画を立てられるため、入場時間を分散させてトラックの混雑を緩和したり、庫内での事前準備をおこなって当日の荷積み・荷降ろしを効率化したりと、バースにおける業務改善をおこなえます。
またドライバー側が予約時に伝票を添付しておくことで、突合や検品にかかる時間も短縮できます。
受付機能
受付システムとして拠点にタブレットを置いておくことで、紙に記録するよりも手軽に車両の入退場記録をつけられます。同時にバースの担当者にも車両の到着状況が通知されるため、スムーズな誘導が実現します。
またスマートフォンを持っているドライバーであればオンライン受付も可能なため、トラックから降りて窓口に行く必要がなく、車内から簡単に受付を終えられます。
そしてバース側で荷物の受け入れ、もしくは積み込みの準備ができた時点で、ボタン1つでドライバー宛に呼び出し連絡のためのSMSを送れます。担当者がドライバーに声をかける手間を省いて、バース誘導業務を効率化できるのです。
「MOVO Berth」の魅力
物流センター運営のコスト削減のために開発された「MOVO Berth」。庫内作業の効率化に役立っているのはもちろんですが、物流センターがサービスを利用することで、ドライバー側にも大きなメリットが生まれています。
「MOVO Berth」の登場により、ドライバーはオンライン予約をして決まった時間へ物流センターへ向かうといった働き方が可能になりました。受付後の呼び出しもSMSでおこなわれるため、担当者が呼びに来るのを待つタイムロスもありません。
ちなみに「MOVO Berth」はアプリケーションではなくブラウザベースのサービスとして提供されているため、スマートフォンを持っていない高齢のドライバーでも予約や作業状況の確認が可能です。幅広い世代のドライバーにとって、使いやすいサービスであると言えるでしょう。
「MOVO Berth」にTwilioを利用した理由
株式会社Hacobu 星野様
「MOVO Berth」では、下記の用途でTwilioの「IVR機能」「高品質SMS」が利用されています。
- ドライバーの初回登録時にIVRへ電話をかけると、マイページのURLがSMSで配信される
- 荷主が予約登録した際、ドライバーに向けて予約完了通知がSMSで配信される
- 受付後の呼び出し、庫内誘導のためにドライバーへSMSが配信される
高品質SMSを選んだ理由
ドライバーの呼び出しは業務の根幹に関わるインフラ部分です。メッセージが届かないと車両誘導を適切におこなえず、物流センターにもドライバーにも大きな負担がかかります。
そのため導入するSMSサービスを検討する際は、何より「到達率の高さ」を最重要事項としていました。
サービスリリース当初は他社のSMSサービスを利用していましたが、サーバー障害によるメッセージの未達が頻発。2020年のフルリプレイスに伴って、Twilioの高品質SMSへと切り替えることとなりました。
Twilioの魅力 ~お客様の声~
Twilioの高品質SMSはそれまで利用していた他社サービスと異なり、何十万通も送って未達が数十通だけ、という高い到達率を誇っています。届かなかったSMSもMNPが原因であることがほとんどで、Twilioの不具合によってエラーが起きたことはほとんどありません。体感としては99%くらいの到達率だと思っています。
またサーバー障害やメンテナンスが少ないことも、安定して使えるというポイントだと感じています。
そのほかの魅力としては、TwilioのAPI自体が充実していて使いやすく、拡張性もあるため、さまざまな試みができる点が挙げられます。直近では「ドライバーの呼び出しをSMSではなくIVRでできないか?」というお問い合わせを受け、Twilioで実現できないか検討しています。
- 会社名
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株式会社Hacobu
- URL
- 住所
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〒108-0073 東京都港区三田3-12-17 プレクスビルディング3F
- 事業内容
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物流向けアプリケーション及びハードウェアの開発・販売