JCOM株式会社
ビデオ通話を使ったオンライン営業ツールの開発で成約率が向上
JCOM株式会社は、ケーブルテレビや高速インターネット接続サービス、固定電話やモバイル・ホームIoTなどを提供するケーブル・プラットフォーム事業を中心とした企業です。そのほかにもメディア事業や、マンション一括受電サービスを始めとした小売電気事業など、さまざまな分野でサービスを展開しています。
2020年に始まったコロナ禍で対面営業が難しくなったことをきっかけに、Twilio Programmable Videoを用いたオンライン営業ツール「J:COMオンラインルーム」を自社開発しました。
課題
- 新型コロナウイルスの感染拡大により対面での営業活動をおこなえなくなり、新たな営業スタイルの模索が必要になった。
- 非対面での打ち合わせを望む顧客が潜在ニーズとして一定層あった。
解決方法
TwilioのProgrammable Videoを利用したオンライン営業ツールを開発し、営業活動をビデオ通話でおこなえるようにした。
効果
- 非対面となるため、コロナ禍においても安心して商談をおこなえるようになった。
- 対面スタイルでの営業活動時にかかっていたさまざまなコストを削減できた。
- 商談件数が増えたほか、顧客接点の変化により受注率が向上した。
コロナ禍で生じた営業活動の課題
J:COMのサービス訴求キャラクター ざっくぅ
これまでJCOM株式会社では、顧客を訪問する対面方式の営業活動をおこなっていました。営業担当者は社用iPadにプレゼンテーションツールや申込書の作成ツールをインストールし、画面を見せながら説明するスタイルで、申込書の作成・印刷までその場で完了させていました。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月に緊急事態宣言が発令されました。これにより従来の対面営業ができなくなったことから、コロナ禍においても安心して商談ができるよう、早期にオンラインでの営業に移行する必要が生じたのです。
一方で従来の対面営業には、訪問時に発生する交通費や駐車場代、また移動時間などの金銭的・時間的コストが多くかかっていました。オンライン営業を開始するにあたって、このコスト削減も解決すべき課題として挙がりました。
かくして営業担当者達は独自にオンライン営業がおこなえるツールの調査・検証を開始します。
「J:COMオンラインルーム」について
J:COMの顧客層は若年層からシニア層まで幅広いため、「ITに慣れていない人でも抵抗なく使える」オンライン営業ツールを導入する必要がありました。
しかし既存のビデオ通話サービスでは条件に合致するものがなかったため、自社開発をおこなうことに。そうしてIT企画部のメンバーがさまざまなWebRTC系サービスを技術検証した結果、すべての希望にマッチしたTwilioが選ばれ、オンライン営業ツール「J:COMオンラインルーム」が開発されました。
オンライン営業のフロー
- 事前に顧客へ架電してアポイントメントを取得
- ビデオ通話による商談、オンライン営業
- 申込の意志確認(申し込みページの共有)、作成までiPadで対応
アポイントメントを取る段階で、まず顧客に「打ち合わせを対面でおこなうかオンラインでおこなうか」を選んでもらいます。
オンライン希望の顧客がスマートフォンユーザーであればSMSでオンラインルームのURLを送って招待し、パソコンユーザーであればJ:COMのホームページからオンラインルームにアクセスしてもらいます。
そしてオンラインルームにてビデオ通話を開始し、資料を画面共有で顧客に見せたり、申し込みページの案内をしたりと、従来と同じように営業活動をおこないます。
現在はエリアごとに担当していた営業を支社ごとにオンライン営業部署として集約し、センター化が進んでいます。またカスタマーセンターにおいても「J:COMオンラインルーム」の利用が始まっており、今後さらに利用範囲を拡大していく予定です。
オンラインルーム」で使用されているTwilioの機能
「J:COMオンラインルーム」では、オンライン営業をおこなううえでさまざまなTwilioの機能を利用しています。
①Programmable SMS
顧客に「J:COMオンラインルーム」の会議室を共有する際、SMSでURLを送信します。また申し込み用の専用ページをSMSから案内することもあります。
②Programmable Video
画面共有で資料を顧客に見せながら説明したり、ペンを使って共有している資料へリアルタイムでマークをつけたりと、Programmable Videoに備わった機能を利用して対面時と変わらない丁寧な営業活動をおこなっています。
またトラブル回避やナレッジ蓄積を目的として、顧客の同意を得たうえで通話の録画・録音もできるようになっています。
カメラ機能は営業担当者のみを映す仕様となっていましたが、現場の「お客さまの配線状況を見ながら申し込み手続きを進めたい」といった声を吸い上げ、顧客側が自身のカメラをオンにできる機能も2022年3月にリリースされました。
③Conversation
やり取りの中で、メモや質問事項など文字ベースで伝えたいときのために、Conversationを用いたチャット機能を実装しています。
このチャット機能は顧客との双方向のやり取りだけにとどまらず、システムから営業担当者への通知にも利用されています。無事にログインできたか、申し込みが完了したか、営業担当者がリアルタイムで顧客の動きを確認できるようになっています。
オンライン営業で、対応可能件数は1.5倍に
J:COMオンラインルームの開発により、成約率の向上と営業活動の効率化を実現できました。
従来の営業スタイルでは、訪問日を調整することにも時間や工数を要していました。しかしオンラインであれば場所を選ばないため、たとえば遠方に住んでいる顧客にもリモート営業が可能です。
オンライン営業によって他社より早く顧客との接点を持つことができ、それが結果として成約率の向上に繋がりました。
また従来の対面営業では、訪問に際して移動時間も考慮する必要がありました。しかしオンライン営業では移動時間が不要になるため、1日で商談できる件数も最大で1.5倍ほど増加しました。
さらにオンラインであればオフィスから接続できるため、上長の同席もしやすくなります。営業担当者が上長のサポートを受けられるようになったことで、「お客さまファースト」のよりよい営業活動が可能となりました。成約率の向上はもちろん、社内の人材育成にも、J:COMオンラインルームは大きく貢献しています。
Twilioを選んだ理由~お客さまの声~
ITに不慣れなお客さまも対象とするため、URLにアクセスしたらすぐにオンライン会議を始められるツールを開発する必要がありました。しかし候補に挙がった他社サービスは、
- パソコンでの使用が前提で、iPadに対応していない
- 通話履歴を残せない
- SDKで通話機能を組み込むにしても、お客さま側にも専用アプリケーションをダウンロードしてもらわなければいけない
といった仕様のものが多く、なかなか条件を満たせませんでした。
その中でTwilioは、APIで簡単に実装できるうえに、アプリケーションを使わなくてもウェブ上でミーティングルームを作れる点やマルチデバイス対応でiPadでも使える点が希望にマッチしていました。
技術検証の際には営業側のアプリケーションが落ちてしまう問題も生じましたが、エバンジェリストの方が丁寧にアドバイスしてくださったおかげで無事に課題解決できました。その手厚い対応が信頼できると感じたため、本格的にTwilioを導入した次第です。
今ではKWCの担当者が月1回の定例ミーティングを開いてくれますし、それ以外にもこまめにお電話で状況や課題のヒアリングをしてくれています。サポート体制がとてもしっかりしているので、いつも助かっています。
今後の展望
「J:COMオンラインルーム」の開発によって、コロナ禍においても、お客さまが安心して商談に参加できるようになりました。
しかし現在は申し込みに関する手続きや書類作成が完全にはオンラインに移行できていないため、2022年度は100%オンライン化できるよう、さらなる機能追加開発を進めたいと考えています。
またお客さまとの商談の通話録音機能も今はトラブル回避のために実装している部分が大きいですが、今後は録音データからわかるお客さまの反応を踏まえて、より分かりやすく伝えるためのトークスクリプト作成に役立てるなど、さらに社内教育に活用していきたいです。
そして今後は営業活動だけでなく、お客さまからの問い合わせにもビデオ通話で対応するサポートを構築していきたいと思います。
- 会社名
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JCOM株式会社
- URL
- 住所
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〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館
- 事業内容
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ケーブルテレビ局の統括運営を通じた有線テレビジョン放送事業及び電気通信事業
ケーブルテレビ局及びデジタル衛星放送向け番組供給事業統括