クラウドコンタクトセンターへの移行に伴う本格仕様への洗い出し方法

こんにちは、Twilio Championsの西口です。
前回はクラウドコンタクトセンターをスモールスタートする際に必要なモノをまとめました。
今回は本格的なコールセンター移行にあたり考慮が必要な仕様や要件の洗い出しをしましょう。

前回の仕様との違い

前回の仕様は、電話機の必要最低限の仕様を実装しただけものでした。
導入する企業のビジネスに沿った仕様の洗い出しをしておらず、実運用前の試運転という性質が強かったです。

今回取り扱う本格仕様は、企業毎のビジネスドメインを考慮した洗い出しの方法になります。

オンプレミスの電話機能をクラウドに移行する際に気をつけること

電話機ではできてもクラウドにした場合では、当然のことができなかったりすることがあるため、予め認識しておく必要があります。

受電するために必要なウェブサイトを開いておく必要がある

電話機は電源さえ点けておけば、いつでも受電します。
 
しかし、Twilioを用いた電話機能ではPCやブラウザを開いただけでは受電できません。

そのため、Twilio Clientというソフトフォンが埋め込まれたウェブサイトを開いておく必要があります。
営業が必ず開く顧客関係管理(CRM)システムにTwilioを導入しておくなど、どこでTwilioを利用するかなどは考えておくことをオススメします。

ログイン機能

電話機であれば、知らない人が勝手に知らないところに電話をするというのは考えづらいかと思います。

Twilioはアカウントに紐づくAccount SidAuth Token保持している電話番号の3つがあり、インターネットに接続さえすればどこからでも電話をできるメリットがあります。

しかし、これらの情報が漏れると、知らない人がこっそり電話を悪用するということが可能となるため、セキュリティを考慮したログイン機能を設計しておく必要があります。

近年、情報漏洩によって企業にダメージを受けることもあるため、セキュリティー対策は必須だと思います。

移行時の仕様作成で気をつけること

前置きが長くなってしまいましたが、ここから本題の本格仕様の洗い出しについて説明していきます。

要件を聞くべき人

まず、現場で電話を実際に使ってる人と現場をまとめているリーダー層にヒアリングをします。

現場で使う人からは、普段良く使う機能を聞き出しましょう。また、複数の人から聞くことで抜け漏れを防げます。

電話機として最低限の機能を満たすことで、導入後、現場で使われずに移行に失敗するということが起こりづらくなります。
 
その後、現場のリーダー層からもヒアリングをしておきましょう。
現場の人からは電話機として必要最低限の機能を聞いた上で、今できていないことや、メンバーを横断して確認しておきたい指標などをリーダー層から聞き出しておきます。
 
Twilioに移行するメリットの一つとして、通話などの各種ログを利用した業務改善があります。
このメリットを強くリーダー層にアピールすることで、業務改善が進むのはもちろんの事、業務全般を見ようとするエンジニアであるということが伝わり、リーダー層が味方になってくれるため、運用保守フェーズで色々と進めやすくなる効果があります。
 
仕様作成ということで、直近の開発フェーズに目が行きがちですが、Twilioへのリプレースはゴールではないです。

ぜひ要件ヒアリング時点から長期的なビジョンを持ち、プレゼンすることで現場をうまく巻き込んでいくことが重要です。

他システムとの連携

電話機をTwilioに置き換えるだけでは、メリットを充分に感じられないかと思います。

Twilioの最大の特徴は、APIということから他システムと連携することによって、更にメリットを享受できるようになります。
 
一般的にTwilioはCRMシステムと連携することが多いので、CRMシステムと何をどう連携するのかを早い段階で決めます。
架電や受電時、顧客情報を表示するというよくある仕様でも、データはどこに持たせるかなど決めることは沢山あります。
システムリーダーと話し合い、どのように連携し、仕様作成や実装の責務は誰が持つかなども確認しておきましょう。

仕様の実現可能性の確認方法

仕様が決まったら、実現可能性を確認していきましょう。

Twilioの強みとして、オープンなAPIが提供されており、ドキュメントがこちらのWeb上に公開されています。
 
仕様に沿ったAPIは存在するかどうかを確認することで、実装着手前から実現可能性が測れます。
また、事例紹介で似た仕様をすでに実現している事例があるかどうかも確認可能です。
 
実現可能性が低い仕様は要件の再確認や、実現する方法がないかをKDDIウェブコミュニケーションズ社主催のTwilio相談会技術的な問い合わせから確認してみることをオススメします。私も相談会と技術的な問い合わせで、何度もお世話になっており、問題点の改善に繋がっています。

移行スケジュールの確定

実現可能性も確認し、「いよいよ実装を始めていきましょう!」と言いたいところですが、まず移行スケジュールを決めておきましょう。

電話番号を各通信事業主からTwilioへ移行する事務作業や、電話番号変更に伴う、関係者への周知など、クラウドコンタクトセンターをリリースする前にやることが沢山あります。

電話番号の移行

電話番号の移行可否を確認しましょう。
 
Twilioでは現在、03番号06番号といった市外局番付きの電話番号は利用できません。
また、050番号は通信キャリアを問わず、番号の移行ができません。
そのため、これらの電話番号の移行ができないと思ってください。
代わりに050番号0120番号の電話番号を利用することになるため、仕様作成時に予め確認しておきましょう。
 
0120番号は電話番号の移行が可能ですが、番号によって違うようなので、移行可否はKWCに問い合わせてください。
移行が可能でも、事務作業に時間がかかるため、リリースタイミングを合わせられるよう余裕を持って確認しておきましょう。

旧電話システムの閉じ方

オンプレミスからクラウドへの移行にあたり、利用できなくなった電話番号を関係者に周知することが必要です。
また、ウェブサイトやメールの署名に載せている電話番号もすべて差し替えましょう。
この際、見逃しがちなのが、紙に載せている電話番号です。
名刺や広告、カレンダーや年賀状と言ったものにも載っていることがあるので、新電話番号を載せ忘れないよう注意してください。
 
移行できない旧電話番号をTwilioへ移行と同時にすべて解約してしまうのはオススメできません。
新しい電話番号を知らないお客様が旧電話に電話をかけた場合、それらすべてを取りこぼすことになってしまいます。
そのような事が発生しないように、旧電話番号で受電があった場合、新しい電話番号がある旨をアナウンスで伝えたり、
新しい電話番号へ転送するなど工夫してみてください。
 
最後に、Twilio移行前の電話システムもすぐに解約するのはオススメできません。
Twilioを用いた新システムへ移行した際、何かしらの不具合が発生し、電話が使えないとなるとお客様との連絡を取るすべがなくなってしまいます。
 
旧システムの重要度や契約次第ですが、数ヶ月はTwilioと旧電話システムが並行で契約した状態にします。
社用携帯電話などを持っているのであればそれも活用し、問題発生時は旧システムで電話ができるよう冗長化しておきましょう。

まとめ

今回、仕様の洗い出しから、リリースまでのスケジュールについてまとめました。
実装を始めるまでにやることが多く、大変そうと思うかもしれませんが、電話やLINE通話などを含めた音声通話はお客様との重要なコミュニケーションパスの一つです。
 
特にLINE通話と連携できるのはTwilioの強みです。
手を抜かず、しっかりと仕様洗い出しと実装をしていきましょう。
 
仕様を明確にしたところで、次はリプレース時の注意点をについてまとめます。
お楽しみに。

Webエンジニア 西口瑛一:前職でTwilioを用いた国内最大規模のコンタクトセンターを1から開発。
その経歴が認められ、日本では5人しかいないTwilio Championsに選ばれる。
Twitter ID: https://twitter.com/24guchia
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