Twilioブログ

クラウドコンタクトセンターリリース後に起きた失敗と改善について

こんにちは、Twilio Championの西口です。 前回は、オンプレミスからクラウドコンタクトセンターへリプレースする際の注意点をまとめました。 今回は、クラウドコンタクトセンターへのリプレース後に実際に発生した失敗と改善策についてご説明します。 私と同じミスが発生しないように、是非参考にしていただければ幸いです。

録音ファイルの保持について

Twilioは、クラウドストレージサービスではないため、Twilioに録音ファイルを置いておくと料金が高くなる場合もございます。 この問題を解消するため、「Amazon S3」や「Google Cloud Storage」などに置くことで解決できます。 料金の試算方法は、まずTwilioで1分間通話し、録音ファイルをダウンロードします。そのダウンロードしたファイルサイズを基準に1ヶ月の予測される録音時間から、最終的に1ヶ月でどれくらいのファイルサイズになるかを算出します。算出されたファイルサイズを元に料金の試作を行いましょう。 ※ 具体的な料金は最新の情報を各社ページより参照してください

わざわざこのような計算方法を取るのは、 Twilioの録音料金は分単位での課金なのに対し、 S3やCloud Storageはファイルサイズでの課金になるためです。

実装方法

Twilioは、各種イベント時にWebhookを発火するので、それを活用することで実装できます。 https://www.twilio.com/docs/voice/twiml/record#attributes-recording-status-callback-event

上記で録音ファイルの作成完了のイベントが取得できます。 そのため、このWebhookで各ストレージへのアップロードを行い、アップロードに成功した後にTwilioから録音ファイルを削除することで、料金を安くすることができます。

SyncのAPI制限について

Twilio Syncは、リアルタイムPubSub機能を有したプロダクトです。 SyncはTwilio Flexでも利用されているため、内製せずにTwilio Flexを利用する場合でも認識しておくことをオススメします。Sync には下記ドキュメントにある通り、 API制限が存在します。 https://www.twilio.com/docs/sync/limits

開発環境では動いたのにも関わらず、本番環境リリース後にAPI制限に引っかかってしまい、動かなくなるという不具合が発生しました。リリース前にどれくらいのAPIリクエストや接続数になるかを試算した上で、制限を念頭に入れて負荷テストを十分に行ってください。

TaskRouter を日本で使うにあたっての注意点

TaskRouterを日本国内で使う際には、 Conferenceでの通話を行わないと音声の遅延が発生します。そのため通常のCallを使うのではなく、予めConferenceを使うことで設計・実装を進めてください。 音声の遅延原因は、APIの送り先がアメリカのAWSに存在しており、Callを使うとアメリカを中心に音声の取り扱いが発生するそうです。そのため、日本同士の通話でもアメリカを経由することで、音声の遅れが発生してしまいます。 2020年6月1日時点では、回避方法が存在していないため、 TaskRouterを日本で使う場合は必ず念頭に入れておいてください。

物理ネットワークと向き合う

Webサイトを閲覧するような用途においては全く気にならないレベルの速度が出ていた場合でも、通話となると少しの遅れやパケットロスが品質に影響を及ぼすため、物理ネットワークと向き合っていきましょう。 PCでの通話では、有線LANやルータの設定などを見直すことで改善がみられました。

  • LANケーブルを繋いでいたはずが、調べるとケーブルが断線していた
  • LANケーブルの爪が折れていたため、PCから抜けやすくなっており、通話中にLANケーブルが抜けて品質が下がった
  • LANケーブルのカテゴリーが合っておらず、モデムの速度に対してネット速度が十分に出ていなかった

また、ルータはQoSの設定も見直し、 UDPパケットが優先して送られるようにすることで、通話品質を高めることができます。このコラムでは具体的な設定方法や物理ネットワークの構成までは触れませんが、一度見直しを行ってみてください。

各PCやヘッドセットと向き合う

headset-callcenter

WebRTC/Twilio自体の通話品質は、どんどん高まってきています。しかし、最終的にユーザが感じる通話品質はユーザの近くにあるものから影響を受けてしまいます。そのため、ユーザが使うPCやヘッドセットについても向き合っていきましょう。

まずPCの場合、 PCのスペックや他に同時使用しているソフトウェアの影響を受けてしまいます。そのため職種に関わらず、なるべく高スペックのPCを用意しましょう。電話だけでなく、ブラウザやExcelのようなソフトウェアでの作業効率も高まるため、大きな作業効率の改善が見込まれます。また有線LANを利用しても、有線LANが優先的に使用されるよう設定を見直す必要があります。

通話品質に問題がある場合は、ほとんどのケースで有線LAN設定を見直すだけで解決できたので、この点はぜひ確認してください。

次にヘッドセットの場合、LANケーブル同様に有線ヘッドセットを利用することを検討してください。無線の方が楽なのですが、通話品質を気にする場合、有線かつUSB接続が一番品質が高く、安定させることができます。また、PCとヘッドセットを接続する場合、ピンジャックよりUSBタイプの方が一般的に品質が高いです。 ヘッドセットのマイクは指向性についてを考慮し、外部からの雑音が入らないように注意してください。コールセンター専用のヘッドセットもありますので、色々と調べてみることをオススメします。

最後に、TwilioのVoice Insightsで問題の切り分けを行っていました。音質が悪いという事象の場合、問題箇所の候補は複数あります。ヘッドセットやPC、PCから先のLANケーブルやルータ、インターネットプロバイダーを通り、Twilioから通信キャリアを経由して、お客様の電話に音が届く(逆もしかり)ため、どこに問題があるかを切り分けるのは必須です。

Voice Insightsでは、Twilio側で保持された情報でパケットロスやMOSを見ることができます。Voice Insightsを確認することで、ほとんどのケースにおいてユーザ側に問題があることが多かったです。ぜひ問題切り分けに活用してください。

ブラウザアップデートへの追従

Twilioを含めたWebRTCプロダクトは、ブラウザアップデートに追従することが求められます。直近でブラウザアップデートの追従が必要になった大きな事例としては、ブラウザでSDPのUnified Plan適用です。 Twilio Clientの更新を常にウォッチしながら、常にアップデートを行えるよう準備をしておいてください。 大きな変更がある場合、 KDDIウェブコミュニケーションズ社から早めにメールにて連絡があるため、そちらも欠かさずチェックをしてください。

まとめ

これらの問題は、私自身が本番環境で発生して大急ぎで改修した実例ばかりです。是非、同じような問題が発生しないように役立てていただけると幸いです。 こちらでオンプレミスのコンタクトセンターからクラウドへリプレースしたシリーズが終了になります。 長期に渡ってお読みいただき、誠にありがとうございました。

Webエンジニア 西口瑛一
Webエンジニア 西口瑛一

前職でTwilioを用いた国内最大規模のコンタクトセンターを1から開発。 その経歴が認められ、日本では5人しかいないTwilio Championsに選ばれる。

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