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在宅でも利用可能!「クラウドコンタクトセンター」を徹底解説

公開日:2022.01.31

更新日:2024.04.17

KDDIウェブコミュニケーションズ

在宅でも利用可能!「クラウドコンタクトセンター」を徹底解説

通信手段の多様化やユーザーのライフスタイルの変化に伴い、多くの企業で「コンタクトセンター」の導入が進んでいる昨今。中でもここ数年でテレワークが一般化したことに伴って、「クラウド型のコンタクトセンター」が特に注目を集めています。

クラウドを利用することで、場所を選ばない自由な働き方に適応できるほか、コスト削減や利便性向上といったメリットも見込めます。そのため従来のオンプレミス型コンタクトセンターからの切り替えを考えている企業も増えているようです。

本記事ではクラウドコンタクトセンターの機能や導入のメリット、留意すべき課題点について詳しく解説します。導入を検討されている方のご参考になれば幸いです。

クラウドコンタクトセンターとは?

クラウドコンタクトセンターとは

クラウドコンタクトセンターはその名の通り、クラウド型システムを利用して作るコンタクトセンターのことです。

クラウド型のシステムは、システムに対してインターネットを介して接続する環境があれば、利用場所を問いません。またシステムの提供事業者によって準備されたシステムを利用するため、自社に設備を準備したり、専用のシステムを構築したりする必要がないといった特徴があります。

これまで活用されてきたオンプレミス型のシステムと比べて初期コストを大幅に削減できるほか、大掛かりな準備も不要で手軽に導入できるため、利用を検討する企業が増えています。

コールセンターとの違い

コンタクトセンターとコールセンターの業務内容は、結論から言うとほとんど変わりません。最大の違いは、顧客対応を行うチャネルの種類にあります。

コールセンターは、セールスやサポートなどの窓口業務を「電話」のみで行います。それに対してコンタクトセンターでは、メールやチャットといった電話以外の通信手段も併用して顧客とのコミュニケーションをとっています

オムニチャネルに対応することで、顧客の環境やライフスタイルにあったサービスが提供できるほか、それぞれのチャネルの異なる客層から「ユーザーの生の声」を集約・分析できます。これによってサービス改善や売上アップも期待できるようになるのです。

その分、コンタクトセンターのオペレーターには、複数のコミュニケーション手段を用いて顧客情報を管理するスキルが求められます。

クラウドコンタクトセンターに必要なシステム

クラウドコンタクトセンターに必要なシステム

クラウドコンタクトセンターは、さまざまなシステムが連携することで成り立っています。ここでは代表的なクラウドコンタクトセンターのシステムについて解説します。

チャットボット

チャットボットは「チャット」と「ロボット」を組み合わせた言葉であり、その名の通り、利用者とチャットをするロボットのことを言います。

ユーザーが入力したテキストやクリックなどの操作に対して、あらかじめ決められた内容を用いて、人工知能が自動的に対話を行います。これにより、無人対応でも解決する問い合わせにオペレーターの時間を割く必要がなくなるため、業務負担を大幅に軽減できるのです。

またロボットが24時間365日対応してくれることから、顧客側にとっても「問い合わせたことに対してすぐ回答がくる」という満足感を与えることもできます。

近年ではAIスピーカーなどの発展に伴い、音声による入力やさまざまなハードウェアへの応答にも対応できるようになってきました。

CRM

CRMはCustomer Relationship Managementの略で、主に顧客情報管理システムのことを言います。

顧客の情報や、対応履歴をひもづけて管理し、コンタクトセンター内で対応の履歴を共有することで、サービスの均一化に期待できます。CRMを活用することで、担当者が変わるたびに顧客から同じことを聞いてしまう、案内する内容が人によって変わってしまうといったリスクを軽減することができます。

また、対応履歴の中からつまずきやすいポイントの整理や、自社サービスの問題点を導き出すといった、会社全体の業務効率化にも役立てられています

CTI

CTIは、電話のシステムとコンピューターのデータを連携させる機能です。これによってオペレーターの業務効率化を図れます。

CTIの基本的な機能として、着信時に発信元の電話番号から対象顧客を特定し、CRMから該当の顧客情報を自動的に検索して瞬時に画面上に表示させるといったことができます。これによって対応履歴や購入履歴を即座に参照でき、オペレーター側で顧客情報を検索する手間を省けるのです。

オペレーターが顧客情報を把握できているため、顧客側も最初に色々と説明する煩わしさから解放されます。問い合わせに至るまでの前段を省略して話し始められることから、より質の高い対応が可能となり、結果として顧客の満足度向上にもつながります。

その他にも、企業側から顧客に電話をかけるケースでもCTIは大いに活用できます。たとえばパソコンに表示されている顧客リストをクリックするだけですぐに通話を開始できたり、相手が不在の際に自動で次の顧客に電話するよう設定できたりと、活用の幅はさまざまです。

CTIについて詳しく知りたい方は、こちらの「CTIとは?CTIシステムの基礎知識と連携時のポイントを解説」の記事もご参照ください。

録音装置

録音装置は名前の通り、顧客との会話の内容を録音する際に利用するシステムです。

録音した通話内容を後から聞き返すことで、重要な情報の聞き逃しを防止できます。またクレーム内容を複数のオペレーター間で共有することも可能です。顧客との会話でトラブルが生じてしまったときでも、管理者が通話の内容を聞き返すことで事態をいち早く把握でき、より適切な対応をスピーディーに行えるでしょう。

また実際の会話を録音して電話対応の教材として利用したり、オペレーターごとの対応を改善するための参考資料にできたりします。録音機能は電話業務の品質向上やオペレーター教育にも活用されているのです。

SMS(ショートメッセージサービス)

コンタクトセンターでは、顧客の携帯電話端末に短文のメッセージ(SMS)を送信するケースがあります。SMSは専用のアプリケーションが不要で、送信する相手の電話番号さえわかればキャリアを問わず送れるメッセージング手段です。

SMSを活用することで、対応サポートの質が向上したケースは多々あります。たとえば会員ページのパスワードやURLの共有といった、口頭よりも文字で伝えた方がわかりやすい情報はSMSでの提供が適しているでしょう。

また着信が集中し、オペレーターが対応しきれないあふれ呼や待ち呼の際にも、SMSでFAQページに誘導するといった対応も期待できます。

クラウドコンタクトセンターを導入するメリット

クラウドコンタクトセンターを導入するメリット

クラウドコンタクトセンターには、オンプレミス型のコンタクトセンターにはなかった独自のメリットがあります。どのようなものがあるのか、主に5つ挙げてみましょう。

メリット①:導入コストが安価

クラウドコンタクトセンターの最大のメリットは、自社に設備を持たないため、導入時のコストが安く抑えられるということです。

オンプレミス型のコンタクトセンターを利用する場合、システムだけでなく電話回線やインターネットの契約などの管理も必要になります。しかしクラウドコンタクトセンターの場合は、このようなシステムに付随する契約に関してもサービス提供事業者が代行してくれるため、利用者側の手間を削減できるのです。

メリット②:メンテナンスのコストがかからない

クラウドコンタクトセンターの場合、システムのアップデートやパッチ適用などのメンテナンス作業もサービスの提供事業者が行います。利用者側にはほとんどメンテナンスに関するコストがかかりません。

またオンプレミス型のように自社でシステムを持つ場合は、正常に稼働しているかを常に監視し、問題が発生した場合にはすみやかに対応を行う担当者が必要です。しかしクラウド型ではそのような業務が発生し得ないため、採用コストの点から見てもメリットと言えるでしょう。

メリット③:導入・利用開始までのスピードが速い

オンプレミス型のコンタクトセンターでは、専用の機材を購入し、その上でシステムを構築する必要があります。また運用開始の前には入念なテストや修正も欠かせません。そのため小規模のコンタクトセンターであっても、利用開始までに数カ月以上かかるケースが多くなります。

しかしクラウド型の場合は、すでに完成しているサービスを利用する形式のため、機材の納品を待ったり、システム構築を行ったりする必要がありません。オンプレミス型に比べて導入スピードが圧倒的に速いと言えるでしょう。サービスによっては、契約して数日程度で利用開始できるものもあります。

メリット④:ランニングコストを柔軟に調節できる

クラウドコンタクトセンターの特徴として、「システムの利用料に応じた従量課金制のサービスが多い」ということが挙げられます。

オンプレミス型の場合は自社保有のため、常に一定のランニングコストがかかります。しかしクラウドコンタクトセンターでは利用した分だけ費用が発生するため、繁忙期・閑散期でコストを調整できるのです。

メリット⑤:拠点を選ばない

クラウドコンタクトセンターは、インターネットを通じてサービスに接続できる環境があれば、オフィス以外の自宅や外出先からでも利用できます。

働き方の多様化に伴い、近年ではテレワークを導入する企業も増えてきました。クラウドコンタクトセンターは拠点を選ばずに利用できるため、自宅からでもオペレーター業務が可能となります。自由な働き方ができるのも、大きなメリットと言えるでしょう。

クラウドコンタクトセンターの課題点

クラウドコンタクトセンターには数多くのメリットがある一方で、導入の際に注意しておかなくてはならない課題点もあります。具体的にどのようなものがあるのか、主に3つ見ていきましょう。

デメリット①:カスタマイズが難しい

クラウド型のコンタクトセンターは、サービスの提供事業者によって仕様が決められたシステムを利用して構築する方式が多いです。

そのため自社にとっては扱いにくかったり、余分な機能がついていたりするケースも考えられるでしょう。しかしサービスの機能で認められていない変更・修正はできません

自社でシステムを持つオンプレミス型のシステムと比べると、拡張性という点では制限が多くなります。どこまでカスタマイズ可能なのか、必ず確認しましょう。

デメリット②:長期運用には向いていない

クラウドコンタクトセンターは導入コストやランニングコストを抑えられる一方で、利用料そのものはサービスを利用し続ける限り発生します。そのため長期にわたって利用していると、結果的にオンプレミス型より割高になってしまう可能性も考えられるのです。

特にカスタマイズできなかった機能を別のシステムで代用したり、有料の追加機能で補ったりする場合には、トータルでかかるコストを考慮したうえで比較・検討するのがよいでしょう。

デメリット③:セキュリティ面に課題がある

コンタクトセンターで扱う情報には、顧客の個人情報など取り扱いに注意が必要なものも含まれます。クラウドコンタクトセンターの場合はこのような情報資源もクラウド上に保管することになるため、セキュリティ管理には細心の注意が必要です。

ただしセキュリティ面の強化は年々進められており、近年ではセキュリティ対策に長けたクラウドコンタクトセンターシステムも登場しています。サービスを比較する際は、サービス提供事業者がどのような対策をしているのか、セキュリティ面のチェックも欠かさないようにしましょう。

コミュニケーションAPIサービス
「Vonage」のご紹介

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Vonageは、電話やSMS・ビデオ・チャット・SNSなど、さまざまなコミュニケーションチャネルをWeb・モバイルアプリケーションやビジネスへ組み込めるクラウドAPIサービスです。自動電話発信や電話転送、対話型IVR、自動SMS通知や二要素認証など、多岐にわたるサービスを実現できます。

コミュニケーションに関わる機能を自社で1から開発するのには多大な工数がかかります。通信の暗号化といったセキュリティ対策など考慮せねばならない点も多く、そのために実装を諦めてしまう企業も少なくありません。

しかしVonage APIと連携すれば、それらの工数をすべてVonage側が担ってくれます。お客様側でのインフラ開発はもちろん、ネットワークの構築・維持コストも必要ありません。ただ数行のコードを書き加えるだけで、自社サービスをマルチチャネル化できるのです。

まとめ

この記事では、クラウドコンタクトセンターの概要や主な機能、導入に際してのメリット・デメリットについてご紹介しました。

オンプレミス型もクラウド型も、それぞれに魅力と懸念点があります。導入を検討する際には、どちらがより自社の環境にあっているのか、よく考えて比較してみてくださいね。

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KDDIウェブコミュニケーションズは、常に「開発者目線」を大切にしており、ブログ記事がお役に立てれば幸いでございます。


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