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テレワークで需要が高まる「クラウド電話」とは?メリット・デメリット、導入時のポイントを解説

公開日:2022.09.01

更新日:2024.03.29

KDDIウェブコミュニケーションズ

テレワークで需要が高まる「クラウド電話」とは?メリット・デメリット、導入時のポイントを解説

働き方の多様化に伴い、多くの企業でテレワークの導入が進んでいる昨今。しかしオフィスの受付など、社外からの電話を受ける必要があるために、なかなかテレワークに踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

この記事ではそのような状況下で需要が高まっている「クラウド電話」について、基本的な機能や特徴、メリットとデメリットを詳しくお伝えいたします。またクラウド電話が活躍する代表的なケースもご紹介いたしますので、導入を検討している際にはぜひ参考にしてみてください。

クラウド電話とは?

クラウド電話とは?

クラウド電話とは、従来オフィス内に設置して利用していたPBX(電話交換機)を、クラウド上に設置して通話を行うシステムのことです。

クラウドPBXのサービスを提供しているベンダーと契約し、そのベンダーが構築した環境にインターネットを通じてアクセスして、電話をかけたり受けたりします。

従来のオンプレミスシステムと同様に、利用者同士の内線通話や外線電話など、一般的な電話システムの機能の多くを取り揃えています。

従来のビジネスフォンとの違い

従来、オフィスにビジネスフォンを導入するには、電話機を購入して配線処理を行うなどの物理的な作業が必要不可欠でした。そのため機器購入に高額な費用がかかったり、オフィスの移転やレイアウト変更のたびに配線工事が発生したりと、多くのコストがかかってしまっていたのです。

しかしクラウド電話はインターネット環境があれば利用できます。配線そのものがないため工事は不要ですし、オフィス移転やレイアウト変更があっても追加費用がかかりません。

また既存のパソコンやスマートフォンなども電話機として代用できるため、従業員に対して専用の電話機も必要ありません。初期費用を最低限に抑えられるでしょう。

クラウド電話でできること

クラウド電話でできること

クラウド電話に備わっている機能は、サービスを提供しているベンダーによってさまざまです。ここでは一般的に多くのクラウド電話でできることをご紹介します。

電話としての基本機能

クラウド電話でも、従来のオンプレミス環境と同様の電話機能を基本機能として利用できます。従業員の使用しているパソコンやスマートフォンを社内の内線電話の子機として扱えるため、電話の受発信を簡単に行えるようになります。

またクラウド電話はインターネットが接続されている電話機であればどこでも使えるため、出張中やテレワークでオフィス内にいない場合でも内線通話が可能です。電話の取り次ぎや転送も自由に行えます。

そのほか、会社の代表電話や部署代表電話など、ひとつの電話番号を複数人で並行して使うこともできます。

スムーズな設定・レイアウト変更

従来のオンプレミス型PBXでは、電話の設定変更を行う際に専門業者への依頼が必要でした。また移転作業などで電話機を移動させる場合には回線工事の担当業者も呼ぶ必要があり、多くの時間と手間がかかっていました。

しかしクラウド電話ではPBXがインターネット上に置かれており、どこからでも接続可能なため、すべての設定変更がインターネット上で完結します。また専用の配線や電話機も存在しないため、レイアウトの変更も自由に行えるのです。

多拠点の電話環境の構築

クラウド電話は、インターネットでつながった環境内であれば、国内だけでなく海外にある支社も拠点として内線接続できます。そのため複数の拠点を持つ企業の場合、電話代や設備を節約できるでしょう。

また従来のオフィス電話では、拠点ごとに個別に回線契約を手配して電話番号を取得する必要があったため、社内での情報連携や電話番号の管理にかかる手間が課題となっていました。しかしクラウド電話であれば統一された内線電話の番号体系で各拠点をまとめられるため、管理コストを抑えながら運用できます。

クラウド電話に使える電話機

クラウド電話に使える電話機

従来のビジネスフォンは専用の電話機を用意する必要がありましたが、クラウド電話には電話機が必要ありません。ここでは、クラウド電話においてどのようなツールが電話機として利用できるのかをご紹介します。

SIP端末

SIP端末とは、クラウドPBXとインターネットを経由して接続し、SIP(Session Initiation Protocol)と呼ばれるプロトコルを用いて通信する専用の電話機です。インターネット上のプロトコルを利用したIP電話の一種でもあります。

インターネットがつながる場所であれば、どこに移動しても使えます。また内線電話をはじめ、保留や転送、グループ着信など、ビジネスフォンの機能も利用できます。

ソフトフォン

ソフトフォンは、パソコンにインストールして利用するソフトウェア型の電話機です。インターネット上からダウンロードしてインストールすれば、すぐに利用できる状態になります。

ソフトフォンの詳細はこちらの「ソフトフォン」とは?電話機いらずの新しいコミュニケーションを徹底解剖」をご覧ください。

クラウド電話を提供しているベンダーが作成したパッケージだけでなく、クラウド電話で利用できるさまざまなソフトウェアが有償、無償を問わず配布されています。

ヘッドセットの利用により通話しながら同時にパソコン作業を行える点や、パソコンが故障しても別のパソコンにソフトウェアをインストールすればすぐにまた使い始められる点が大きな魅力です。従来のビジネスフォンに比べ、導入コストや利便性の面で多くのメリットがあります。

携帯電話

携帯電話やスマートフォンもクラウド電話の端末として利用できるため、出張中のホテルや取引先への外出中でもビジネスフォンが使えます。操作性も私用の携帯電話とほとんど変わらないため、専用端末を利用する場合に比べ、導入時に覚えることが少ないのもメリットです。

クラウド電話のメリット

クラウド電話のメリット

続いては、クラウド電話を導入するメリットについて詳しく解説します。

メリット①:導入スピードが速い

クラウド電話の最大のメリットとして、導入スピードが速いという点が挙げられます。

クラウド電話では、ビジネスフォンの機能の中心となるPBXがクラウド上に用意されています。そのためインターネットにつながるパソコンさえあれば、サービス提供事業者と契約するだけですぐに導入できるのです。

最短当日から利用を開始できるサービスも登場しているため、導入から利用開始までの時間が大幅に短縮されます。オフィスの移転を検討している企業や、早急にビジネスフォンへ切り替えが必要な企業にとっては有効な選択肢となるでしょう。

メリット②:専用の電話機が不要

従来のビジネスフォンの仕組みでは、電話を受発信するために専用の電話機が必要でした。

しかしクラウド電話は専用の電話機は必要としません。SIP端末、ソフトフォン、携帯電話など複数の選択肢の中からシチュエーションによって選べます。

わざわざ電話機を購入しなくても、手元にあるツールを利用できるため、導入にかかる費用や手間を削減できるでしょう。

メリット③:メンテナンス費が不要

従来のビジネスフォンでは、購入した電話機やPBXのメンテナンスが必ず必要になります。またオフィスのレイアウト変更や移転でも回線の引き直しが必須となり、維持するだけで費用がかかります。

一方、クラウド電話は社内に専用の機器を設置しないため、機器のメンテナンスそのものが発生しません。PBXのメンテナンスはサービス提供事業者が対応してくれるため、利用者は特に意識しなくて大丈夫です。

費用や時間に対して懸念事項が多いメンテナンスが不要であることは、結果として業務負担の削減にもつながるでしょう。

メリット④:企業規模の拡大・縮小に柔軟に対応できる

企業の成長に伴ってオフィスが増設されたり、拠点が追加されたりすると、その分だけ社員が利用する電話も増やさなくてはなりません。

クラウド電話では、電話の増設や減設をWebサイトからのクリック操作だけで簡単に行えます。設定はすぐに反映されるため、ソフトフォンからつなげるだけですぐに利用開始できます。

企業規模の拡大・縮小を柔軟に対応できる点は、スタートアップなど大きな成長過程にある企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

メリット⑤:拠点を選ばずに利用できる

クラウド電話はインターネットを経由してサービスに接続できればどこからでも利用できます。アカウント同士は内線で接続されているため、一方の従業員が外出中でも別の拠点にいたりしても問題なく使えます。外出の多い営業担当者や、テレワークで自宅にいる場合でも、オフィスにいるのと変わらずに電話対応ができるのです。

出社、在宅、営業の外回など、勤務形態や職種にフレキシブルな変化が求められる職場にとっては好都合であり、これからの時代に必要なスタイルともいえるでしょう。

クラウド電話のデメリット

クラウド電話のデメリット

さまざまなメリットを持つクラウド電話ですが、決して万能なものではありません。利用する上で注意しなければならない点も当然あります。

ここではクラウド電話のデメリットについて解説しますので、導入を検討する際には入念に検討してみてくださいね。

デメリット①:ランニングコストがかかる

クラウド電話では、サービスを利用するための月額サービス利用料がかかります。利用するアカウント数や機能によって価格が決まっていることがほとんどで、規模が大きくなると月額費用も増える傾向にあります。

このような費用は従来のビジネスフォンでは発生しないため、クラウド電話のデメリットと言えるでしょう。ビジネス規模が安定していない企業の場合、判断が難しい側面とも考えられます。

デメリット②:緊急電話番号に発信できない

クラウド電話は、警察(110)や消防(119)といった緊急電話番号に発信できません。

緊急電話番号の多くは発信元の位置情報を取得して、接続先を切り替えたり情報を効率的に集めたりするのに利用しています。さらに緊急を要することが予想される電話番号については、位置情報の通知を義務付けるなどの制約があります。

しかしクラウド電話はどこからでも利用できる反面、場所を着信先へ通知できません。よって緊急時の連絡に関しては、別の方法を設けておく必要があります。

デメリット③:通話品質が不安定

クラウド電話では、通話中にやり取りされるデータをインターネット経由で相手に送っています。そのため通話の品質が安定するかどうかは、インターネット回線の品質に大きく左右されます。

インターネットが不安定な場合や送受信データが多い場合は通話品質が安定しません。通話中の音声が途切れたり、通話が切断されたりするリスクがあることは念頭に置いておきましょう。

クラウド電話を選定する際には、自社のインターネット回線や社内ネットワークの帯域に十分な余裕があるかも確認しておくとよいですね。

デメリット④:セキュリティ面に対策が必要

従来のビジネスフォンはシステムを社内に設置するため強固なセキュリティを構築できました。しかしクラウド電話はインターネット上にシステムが設置されており、誰でも接続できる環境にあるため、セキュリティに対しては注意が必要です。

クラウド電話のセキュリティ品質はサービス提供事業者に依存しています。各事業者にて独自のセキュリティ対策が行われていますので、クラウド電話を安全に利用するためにどのような対策が利用できるか、事前に調査しておくと良いでしょう。

クラウド電話の導入に向いているケース

続いては、クラウド電話の導入に向いている企業の特徴について紹介します。

クラウド電話の導入に向いているケース

ケース①:テレワークを導入したい

クラウド電話の大きな魅力は拠点を選ばずに利用できることです。オフィス内はもちろん、テレワークで自宅にいる場合にも、ソフトフォンを使えば社内にいるのと変わらない電話対応ができます。

近年は在宅勤務やテレワークの導入が進んでおり、「場所を選ばない」働き方に注目が集まっています。電話対応のためにやむなく出社しなければならず、テレワークを導入できない……といった企業も、クラウド電話を導入すればその必要もなくなります。

これからテレワークを導入したいと考えている企業にとっては、クラウド電話は有効な選択肢となるでしょう。

ケース②:オフィスの移転予定がある

今後オフィスを移転する予定のある企業には、クラウド電話が向いていると言えます。必要な設定を事前に実施しておけば、移転後はソフトフォンをインターネットに接続するだけですぐに利用できるからです。

移転に伴う大きな懸念事項として、環境やシステムの移行時間が挙げられます。クラウド電話の導入によって電話機や備品の持ち運びが必要なくなれば、セットアップの時間を大幅に短縮できるでしょう。

特に、これから事業拡大を予定している企業への適性は高いと考えられます。

ケース③:フロアの配置換えが多い

移転同様、フロアの配置換えが多い企業にもクラウド電話は向いています。

電話機と電話番号が紐付いた従来のビジネスフォンでは、席を移動すると内線番号が変わってしまいます。変更を避けるためには電話機自体を移動させねばならず、そのために回線工事が必要でした。

しかしインターネット経由のクラウド電話であれば、それらの手間がまったくかかりません。内線番号が変わらない点は、部署異動やチームプロジェクトなど、人が流動的に動く企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

ケース④:小規模、スタートアップ企業である

小規模企業やスタートアップ企業では、最初の設備投資を抑えつつ、将来増設することを念頭にシステムの選定を行うのが一般的です。

従来のビジネスフォンの場合、導入するPBXの種類によって接続可能な電話機の上限が決まっていたり、接続数の多いPBXだと高額になったりするため、導入をためらうこともあるでしょう。

しかしクラウド電話では、必要最低限のライセンスを契約しておけば、事業の規模に合わせて拡大・縮小を柔軟に対応できるのです。またメンテナンスコストも低く抑えられるため、コストを抑えたい企業にとっては有効な選択肢となります。

クラウド電話の導入方法

クラウド電話の導入方法

クラウド電話を導入するためには、クラウド電話サービスを提供しているベンダーと契約する必要があります。

クラウド電話サービスは、提供ベンダーによってコストや機能がそれぞれ異なります。そのため自社に必要な機能をピックアップして、選定基準を決めてベンダーを選定するのがおすすめです。

既存のビジネスフォンからクラウド電話に移行するには?

現時点ですでにビジネスフォンを利用している企業の中には、オフィス移転や利用機材のリース満了等に伴い、新しい電話システムを検討している場合もあるでしょう。

クラウド電話の利用自体は、この記事で紹介してきた通り難しくありません。ただし利用中の電話番号を残したままでの移行を検討している場合には注意が必要です。

利用中の電話番号を残せるかどうかは、使用している回線の事業者や、移行先サービスの対応状況によって異なります。事前にベンダーに確認しておくと良いでしょう。

またビジネスフォンの場合、満了時以外には契約を終了できなかったり、別途費用がかかったりするケースもあります。利用しているビジネスフォンのリース契約期間や条件にも注意しておきましょう。

コミュニケーションAPIサービス
「Vonage」のご紹介

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Vonageは、電話やSMS・ビデオ・チャット・SNSなど、さまざまなコミュニケーションチャネルをWeb・モバイルアプリケーションやビジネスへ組み込めるクラウドAPIサービスです。自動電話発信や電話転送、対話型IVR、自動SMS通知や二要素認証など、多岐にわたるサービスを実現できます。

コミュニケーションに関わる機能を自社で1から開発するのには多大な工数がかかります。通信の暗号化といったセキュリティ対策など考慮せねばならない点も多く、そのために実装を諦めてしまう企業も少なくありません。

しかしVonage APIと連携すれば、それらの工数をすべてVonage側が担ってくれます。お客様側でのインフラ開発はもちろん、ネットワークの構築・維持コストも必要ありません。ただ数行のコードを書き加えるだけで、自社サービスをマルチチャネル化できるのです。

Vonage Voice API

Vonage Voice APIは録音や音声認識、IVRなど、通話に必要なあらゆる機能をプログラムでコントロールできるAPIです。

世界中の電話番号を用いたPSTN(公衆回線網)やSIP、Web RTCでの発着信機能を利用できます。また日本国内を含む約80カ国の電話番号を提供しており、ダッシュボード上から簡単に番号取得のお申し込みが可能です。

料金は通話秒数に応じた従量課金制です。また通話の録音・保存や日本語での音声認識、テキストの読み上げなどは無料で利用できます。そのため、不要なコストをかけずに音声通話のコミュニケーションチャネルを自社サービスに連携させられます。

まとめ

本記事ではクラウド電話の機能や特徴について紹介し、クラウド電話のメリットおよびデメリットも詳しく解説いたしました。

クラウド電話の需要は高まってきており、提供するベンダーや提供機能も増えてきています。テレワークやオフィス移転など、働き方や働く場所に柔軟性が求められる企業にとっては、クラウド電話は検討の価値があると言えるでしょう。

時代の波に合わせて、クラウド電話を提供するベンダーは増加傾向にあります。またその機能グレードも上がってきています。クラウド電話の選定に困ったら、ベンダーごとのメリット・デメリットを比較して、自社の事業に合ったサービスを選定してみてくださいね。

執筆者情報

KDDIウェブコミュニケーションズ
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KDDIウェブコミュニケーションズは、常に「開発者目線」を大切にしており、ブログ記事がお役に立てれば幸いでございます。


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