この度はTwilioサービスにご興味をお持ちいただき、誠にありがとうございます。
この"Twilio講座 入門編"は初めてTwilioに触れる方向けに、周辺用語の解説を交えながらTwilioの基礎をご紹介していきます。Twilio講座は、今回の入門編をスタートとして連載記事となっており、順番にTwilioを学んでいただくことでTwilioの可能性を感じていただければ幸いです。
本記事ではまず、Twilioの提供方式「APIプラットフォーム」についてと、Twilioがもたらす価値についてご紹介いたします。
■Twilio講座 入門シリーズ■
【Twilio講座 入門編①】コミュニケーションAPIのTwilioとは?
【Twilio講座 入門編②】アカウントの種類と無料アカウント作成方法
【Twilio講座 入門編③】Twilio管理画面(コンソール)
【Twilio講座 入門編④】電話番号を購入するために必要な手続き
【Twilio講座 入門編⑤】Programmable Voiceとは?
【Twilio講座 入門編⑥】Programmable Voiceの使い方|自動音声応答IVRを作ってみよう!
【Twilio講座 入門編⑦】SIPとWebRTC Clientを使った音声通話の概要
【Twilio講座 入門編⑧】Programmable SMSを使ってSMSを送信してみよう!
目次
TwilioのAPIプラットフォームとは

Twilioは、電話・SMS をはじめとする各種コミュニケーションを実現するためのAPIプラットフォームサービスです。
APIとは Application Programming Interface の略で、ソフトウェア間で機能を共有する仕組みのことを指します。
例)自社で開発している社員スケジュール管理システムの場合
社員スケジュール管理システムに「会議時間が近づいたら社員に電話をかける機能」を追加したいとき、電話をかける仕組みをゼロから作って実装するのは大変です。
そこで役に立つのが、TwilioのようなAPI型サービスです。
Twilioは『電話をかける』『SMSを送る』といった機能を、すでにTwilioのシステム内で作り上げています。
これらの機能をAPIという形で提供しているため、お客様は簡単にTwilioの機能を自社システムに追加できるため、0から作る必要がないというわけです。
Twilioが提供している機能
Twilioでは主に以下の機能をAPIやSDK(ソフトウェア開発キット)として提供しています。
Twilioプロダクト名 |
概要 |
Programmable Voice |
電話の受発信 |
Programmable SMS |
SMSの受発信 |
Programmable Video |
ビデオ通信 |
Conversations |
チャット通信 |
Elastic SIP Trunking |
宅内のIP PBXをTwilioと連携 |
Twilio Verify |
二要素認証に特化した機能 |
Twilio Channels |
複数種類のチャットアプリへのメッセージ送受信を統合 |
Lookup |
電話番号情報の検索 |
これらの機能を生かしたソリューションをより使いやすくしたり、開発しやすくしたりするプラットフォームもあります。
プロダクト名 |
概要 |
Twilio Studio |
コードを書くことなくGUIを使ったドラッグ&ドロップ式処理フロー作成機能 |
Twilio Flex |
コンタクトセンタープラットフォーム |
TaskRouter |
各種処理のルーティング機能 |
Twilio Functions |
Twilioアプリを素早く構築できるサーバーレス環境 |
各機能についての詳しい説明は、こちらの機能紹介ページをご参照ください。
Twilioを利用するメリット
Twilioを利用する最大のメリットは、低コストで顧客エンゲージメント(企業と顧客との関係性)を効果的に高められるという点にあります。
テクノロジーの進化とともに顧客の消費行動は多様化し、顧客との接点もマルチチャネル化されました。従来のコミュニケーション方法だけでは、十分に関係性を高めることが難しくなってきています。
つまり企業が顧客とのエンゲージメントを高めるためには、テクノロジーの進化に合わせてコミュニケーションを多様化する必要があります。
しかし先進的な取り組みの導入には、知識だけでなく、経験やコストなどのリソースを多く使います。そのために新しいツールの導入へ踏み切れない企業も多いのが現状です。
クラウド型コミュニケーションプラットフォームのTwilioは、APIで機能を提供することにより、先進的な取り組みを導入するためのさまざまなコストを下げることができます。
また従来の電話というコミュニケーション方法の場合でも、Twilioを利用することによって、革新的な使い方を開拓することも可能です。
TwilioはあくまでAPIという部品です。プログラムで好きなように制御を加えることで、「電話=人がかける」という固定概念でさえも変えてしまいました。
Twilioをどのように使うかはアイデア次第です。いかようにも応用が効くため、ぜひ自由な発想で最大限にご活用ください。
ちなみに弊社では、毎週水曜日に開催している Twilio 相談会にて個別のご相談を承っております。検討段階でのご不明点や「この機能はTwilio で実現できる?」といったご質問をお持ちの方は、ぜひお気軽にお申し込みください。
Twilioでできること

Twilioは電話やSMS、ビデオ通話、チャットといったコミュニケーションチャネルと、それらのチャネルの中で使えるさまざまなパーツを部品として提供しております。
パーツを組み合わせることによって、以下のような機能も実現できます。
- ユーザー間でやりとりをするサービスにおいて、お互いの電話番号を伏せた状態で通話ができる「匿名通話」
- アプリなどで本人認証を行うため、登録された電話番号にSMSでパスコードを配信する「二要素認証」
- 既存システムへ低コストで「ビデオ通話」機能を追加
- コールセンターの「あふれ呼対応」
また上記以外にも「電話の自動応答」、「音声Botとの連携」、「チャット機能」など業種や業態、用途を問わず、コミュニケーションに関する、さまざまな機能を実装することが可能です。
他にもTwilioのさまざまな活用方法として、こちらのTwilio導入事例をご覧ください。
また、Twilioは完全従量課金の料金体系となっております。電話であれば1分○円、SMSであれば1通○円など、すべての機能に単価が設定されており、使用した分だけお支払いいただく形です。
ご利用いただいた分だけお支払いいただくため、PoC(概念実証)や新たなサービスを始める場合でもスモールスタートが可能になります。
TwilioのAPIドキュメントについて
Twilioでは、すべてのAPI仕様をドキュメント"Twilio Docs"として公開しています。
https://jp.twilio.com/docs
上記URLでは一部が日本語化されておりますが、翻訳が追いついていない部分は英語のままになっています。このURLのドメインを www.twilio.com に変えると、米国Twilio社が公開した原文のドキュメントが表示されます。
逆に日本語を希望する場合は、上記のようにサブドメインを jp に変えてご利用ください。翻訳済みであれば同じ内容で日本語が表示されます。
2021年4月8日現在、Twilio Docs のトップページはこのようになっています。

トップページには目的ごとに分けられた大メニューがあり、ここから実現手順について書かれたドキュメントへ移動できます。
既に使うサービスが決まっている方は、画面上部の All docs メニューか、この画面を下へスクロールすると現れる "View all docs" というボタンから All Docs の一覧へ移動してドキュメントをお探しください。
なお、画像にある『全API Docs』は、API仕様に特化しています。

こちらが All Docs の一覧です。
サービスごとにドキュメントがまとまっており、それぞれのサービスで利用するAPI仕様書や TwiML(Twilioに命令を出すための専用言語)の書式、アプリ開発用SDK>の仕様まで一貫して参照できます。
またDocs画面上部の検索窓を使う代わりに、Googleで以下のように直接検索するのも有効です。
たとえば、DIAL動詞のTwiML書式を調べたいとします。Twilio Docs のメニューからだと深い階層を辿らなくてはいけませんが、Google検索で「twilio dial」と検索すれば、検索結果の先頭にTwiMLのDIAL動詞 のページが表示されます。
覚えていただきたい3つのポイント
- Twilioサービスごとのドキュメントを参照するにはView All Docsのメニューから
- APIの仕様に特化しているなら 全API Docsのメニューから
- 探したいドキュメントはGoogleで 「twilio単語」で調べる方が早いことが多い